子どもはまだ未熟で出来ないことも多く、そばにいる親はついつい口を出したり、早い段階から答えを与えてしまいがちです。問題にぶつかっても自分自身で考える必要がない場合、きっとその能力は埋もれたままになってしまいます。
しかし親であれば「我が子には自分で考えられる子に育ってほしい」とそう願うのではないでしょうか?
考える力を伸ばすために知っておきたいポイントをご紹介します。
考えさせる教え方
子どもになにか教えようと思った時、皆さんはどのような対応をしているか思い返してみてください。
もしかして最初から最後まで常に口をはさんでは、こうするべき!ああするべき!と過干渉になりすぎてはいませんか?
大人でもそうですが、初めからあれこれ言われてしまってはやる気をなくしてしまいますよね。
物事を教える人は「楽しんでほしい」「身について欲しい」という気持ちがあるため、全てにたいして指示を出してしまったり、失敗させないようにしたりしがちです。
ですがそのやり方だけでは、失敗から得られる経験や自分で気付いて改善していく力が乏しくなっていくように感じます。
なにかを教える時に気を付けたいポイントは3つ。
- お手本を見せる
- 体験させる
- 自分で気付かせる
1つずつ見ていきましょう。
お手本を見せる
百聞は一見にしかずとはよく言ったもので口で伝えるよりわかりやすかったり、大人が見せる効率的なやり方まで学べます。
ですがいきなり見せるのではなく、まず最初はこれからやる事について軽く説明してあげましょう。そのあとはしっかりお手本を見ててもらいます。
そのうえでわからないこと、なにか気付いたことはあるかを確認してあげましょう。
何人かに教える場合は、ここでさらにみんなの前で1人の子にやってもらうといいかもしれません。
お手本を何回か見ることで、やり方は1つではないと気付いたり、もっといいやり方を発見したりといい気付きが得られることも増えますね。
体験から学ぶ
何事も自分でやってみなくてはわかりませんよね。
失敗や成功するにしても誰かの体験を見たり聞いたりするよりも、自分が体験した時の方が記憶に色濃く残るはずです。
自分自身で様々なことを体験することによって経験はどんどん積み重ねられ、積み重ねた経験は自信にもつながります。
新しいチャレンジをする際にも、今までの経験や自信はおおいに役に立つでしょう。
自分で気付かせる
お手本を見て、自分で体験したからこそ得られる気付きは経験という名の宝物です。
そこで傍で見ている親がすぐ答えを出してしまうのはとてももったいない気がしてなりません。
子ども自身が改善点に気付いたり、もっと楽しめるように工夫をこらしたりと、様々な発見があるはずですから基本は子どもに気付かせることを大事にしましょう。
色々なことに気付けるのは子ども自身で目の前の課題について考えている証拠です。
また気付きを大切にして、たくさん見つけられたり、いい発見をしたら「よく観察しているね」「工夫しているね」と声をかけてあげてくださいね。声をかけて良かったポイントを伝えることでさらにその行動は強化され、習慣化していきます。
質問の仕方を変えるだけで考える力はUP
子どもへの質問でも考える力は養えます。でも注意していただきたいのが、質問の仕方です。
例えば、『今日は楽しかった?』との質問では「楽しかった」で終わってしまいます。
色遊びをしているとしましょう。「赤と青を混ぜたら、紫になるかな?」の質問も『なると思うorならない』としか答えられません。
一応質問という形にはなっていますが、子ども自身で考えさせる言葉選びではなく、質問者側から答えを提示してしまっている例です。
ではどうすれば子ども自身が考えられる質問へと変わるでしょうか。
ポイントは3つです。
- 答えのない質問形式
- あなたならどうする?こんな時はどうする?をよく使う
- 考える・答えられる環境作り
先の例でもあるように、答えを提示してしまっていたり、YES/NOで答えられてしまう質問には子ども自身で考える機会が奪われてしまいます。気を付けましょう。
「今日はどんなことをしたの?」「今日一番楽しかったのは?」
このように”一番”という言葉は全ての出来事の中から1つを選ばなければいけないため、考えることにつながります。どんな?という言葉でも具体性が問われるため、頭を働かせます。
「赤と青を混ぜたら、どうなるかな?」「紫をつくるには、どうしたらいいかな?」
このように声をかけることで、そのためには何が必要か、それをしたらどうなるのか予測することが必要になってくるため、経験のないことにも予測を立てて準備をする練習につながります。
お誕生日会やバレンタインデーなどの行事もちょうどいい練習の機会です。
誰を呼ぶ?何をあげる?そのためには何が必要?いつ買いに行く? 考えること、決めることがたくさんありますが、ぜひ子ども主体で進めてみてください。
日頃から小さい出来事でも計画・準備・予測を習慣にすることで自分で考える力が身に付いていきます。
ですが、全て自分でやりなさいとつっぱねるのではなく、困っていたり助けを求めてきたら迷わず手を差し伸べてあげましょう。
「早く言いなさい」「大人の言うことを聞いていればいい」
早く答えを出しなさいと威圧的に急かしてしまっては、いい答えは見つけることは難しいでしょう。むしろ恐怖感で考えることから逃げてしまいます。
大人の言うことだけを聞いていればいいと押さえつけてしまうと、自分の意見を伝えても無駄だと考えることや伝えることをしなくなってしまうかもしれません。
まずは、信頼して自分の意見を言える環境作りを心がけることが大事です。
どんな考えでも受けとめてくれる人がいればまずその人に相談や考えを伝えてみようと思えるでしょうし、そのような居場所があることは子どもの成長にプラスになります。
親の聞く力も一緒に伸ばす
せっかく質問力をあげても、親の聞く力が備わってなければ台無しになってしまいます。
「お母さんはいつも話を聞いてくれない」なんて言われた経験はありませんか?
子どもが話している最中で「お母さんはこう思うよ」「この考えの方がいいけどぁ」と自分の考えを押し付けてしまったり、あなたの為にというスタンスで助言したくなってしまいますよね。
でもこの場合、子どもからすれば助言という形ではなく「自分の考えを尊重してもらえなかった」「
最後まで話を聞いて欲しかった」という記憶が残ります。
これでは「またどうせ話を聞いてくれないし」と信頼感に欠けてしまい親子関係に悪影響を及ぼしかねません。
話を聞くにあたって、意識したいポイントは3つ。
- 話を遮らず、最後まで聞くこと。
- 親の価値観を押し付けない、親の求める答えになるように誘導しない
- 批判的なことは言わず考えを尊重する
子どもの話を聞き、意見を尊重したうえで、会話を深めていくときは「どうしたらもっとよくなるか?」「どうしてそれをしたいのか?」「どうすればいいと思う?」など考えさせるようにして手助けしてあげましょう。
そして、最後は話してくれてありがとう。の気持ちを伝えてみてください。
話の内容にもよりますが、人に自分の考えや問題を伝えたりすることは大人でも勇気がいります。
「親子という関係なら話してくれて当たり前!」なんてスタンスではなく、信頼し心を開いて相談してくれたことに感謝したいですね。